- 仮想通貨やNFTを安全に保管したい
- メタマスク以外に良いウォレットはないの?
- Argentって?使い方は?
- ハードウェアウォレットじゃダメなの?
そんな悩みに答えます。
大事な仮想通貨やNFTは安全に保管したいですよね。特にNFTは詐欺も多く、盗難被害が多いです。
「保管用のメタマスクを使っているけど、メタマスクで本当に大丈夫なの?」
なんて思いますよね。
「ハードウェアウォレットを使った方がいい。」とよく耳にします。
とはいえ、
- ハードウェアウォレットは値段が高い
- 設定がめんどくさい
と思って、なかなか使う気にならないですよね。
実は、ハードウェアウォレットにもいくつか問題点があります。
ハードウェアウォレットの問題点については、記事の後半で解説しますね。
先に結論を言うと、ハードウェアウォレットよりも安全性の高いウォレットがあります。
それは、ソーシャルリカバリーウォレットです。ソーシャルリカバリーウォレットを利用すれば、ハードウェアウォレットよりもさらに安全に仮想通貨やNFTを保管できますよ。
ソーシャルリカバリーウォレットについては、記事内で詳しく解説しますね。
今回は、ソーシャルリカバリーウォレットのArgentについて、メリットやデメリット、使い方について解説していきます。
本記事を読むことで、大事な仮想通貨やNFTをなるべく手間をかけずに、安全に保管できますよ。ぜひご覧ください。
本記事の内容
- Argentとは
- Argentの特徴
- Argentのメリット・デメリット
- Argentの使い方
- ハードウェアウォレットの問題点
Argentとは
ウォレット名 | Argent |
対応チェーン | ・スマホ版:イーサリアム(レイヤー1),zkSync(レイヤー2) ・ブラウザ版:StarkNet(レイヤー2) |
公式サイト | https://www.argent.xyz/ |
公式Twitter | https://twitter.com/argentHQ |
Argentは、イーサリアムチェーンベースの仮想通貨ウォレットです。イーサリアムチェーン上の仮想通貨やNFTの保管、スワップ・ステーキングなどが行えますよ。
また、レイヤー2にも対応しています。
レイヤー2とは
ブロックチェーンのスケーラビリティ(利用者の増大に適応できる度合い)問題を解決するためのソリューション。イーサリアム(レイヤー1)を拡張した別のブロックチェーンです。
イーサリアムのメインネット(レイヤー1)では、利用者の増加に伴いトランザクション量が増加。ガス代の高騰や処理速度の遅延などの問題が起きています。
Argentではレイヤー2が利用できるため、ガス代の負担を減らせますよ。
レイヤー2については、以下のサイトが参考になります。興味のある方は、こちらを参考にしてみてください。
続いて、Argentの特徴について詳しく解説していきますね。
Argentの特徴
Argentの特徴は、以下の通りです。
Argentの特徴
それぞれ解説しますね。
レイヤー2に対応
先ほど説明した通り、Argentはイーサリアムのレイヤー2に対応しています。Argentを使えば、レイヤー2上のアプリケーションに接続できますよ。
またArgentでは、スマホ版のウォレットとブラウザ版のウォレットで、チェーンが異なります。
スマホ版では、Vault(イーサリアムレイヤー1)とzkSync(レイヤー2)が利用できます。
一方、ブラウザ版のウォレット「Argent X」で利用できるのは、StarkNet(レイヤー2)のみ。ブラウザ版(Argent X)ではイーサリアム(レイヤー1)を利用できません。
zkSyncとは
レイヤー2ソリューションで主要の「ロールアップ」と呼ばれる手段のなかで、「ZKロールアップ」を実装したプロジェクト。ZKロールアップは、ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof)を使用したもの。
StarkNetとは
StarkWare Industries社が開発した、ZKロールアップのレイヤー2ソリューション。
イーサリアム(レイヤー1)を利用する方がほとんどかと思うので、ブラウザ版ではなくスマホ版を利用しましょう。
zkSync(レイヤー2)を利用すれば、レイヤー1の最大1/100のガス代負担で済みます。
いつでもzkSync(レイヤー2)から、イーサリアム(レイヤー1)に資金を戻すこともできますよ。
ロールアップやゼロ知識証明については、以下の記事がわかりやすいです。以下の記事を参考にしてみてください。
>>スケーリング問題の打開策「ロールアップ」とは|仕組みや注目点を詳しく解説
シードフレーズが不要
Argentには、シードフレーズがありません。
メタマスクなどの一般的な仮想通貨ウォレットには、12〜24語のシードフレーズがありますよね。
Argentはウォレットの復元時などにシードフレーズを使わず、ガーディアンという仕組みを使います。
ガーディアンが承認すれば、ウォレットを復元できる仕組みです。
自動でトランザクションをブロック
Argentは、信用していないアドレスのトランザクションを自動的にブロックしてくれます。
そのため、意図しないトランザクションを防いでくれますよ。
続いて、Argentのメリット・デメリットについて解説します。
Argentのメリット
Argentのメリットは、以下の通り。
それぞれ解説します。
スマホからDeFiが利用できる
Argentを利用すれば、スマホのウォレット内でレイヤー2のDeFiプロトコルが利用できます。
DeFiとは
Decentralized Financeの略。非中央集権(管理者がいない)の金融サービス。簡単に言うと、銀行員がいなくても、利用者のみで回っている銀行のようなものです。
例えば、イーサリアムチェーン上で代表的なDeFiプロトコルの「Lido」で、ETHのステーキングができますよ。
レイヤー1でも、DeFiプロトコルへの貸付やステーキングを行った際にもらえるトークンを取引できます。
また、WalletConnectを使えば、スマホからブラウザ上でレイヤー1のDeFiプロトコルに接続できますよ。
WalletConnectとは
ウォレットを、DeFiプロトコルやNFTマーケットプレイスなどのDapps(分散型アプリケーション)に接続できるようにする、オープンソースのプロトコル。接続時に暗号化されるため安全性が高い。
DeFiにウォレットを接続する際は、接続先のURLが公式のものかどうか確認しましょう。
トランザクションが自動でブロックされるため、安全性が高い
Argentでは、信用したアドレスや信用リストに追加していないトランザクションの場合、自動的にブロックされます。
信用していないトランザクションを実行するには、ガーディアンの承認が必要。
意図しないトランザクションを拒否できますね。
Argentでは、以下のガーディアンを追加できます。
追加できるガーディアン
- 友達もしくは家族
- Argent(電話番号&メールアドレス)※アクティブ化するとデフォルトで設定される
- メタマスクやハードウォレットなどのサードパーティウォレット
ガーディアンの追加には、ガス代がかかります。
シードフレーズを保管する手間や盗まれる心配がない
先ほど解説した通り、Argentにはシードフレーズがないです。シードフレーズを覚えたり、保管したりする手間がかかりません。
シードフレーズが盗まれ、勝手にウォレットを復元される心配もないですね。
もし、スマートフォンを落としたりなくしたりした場合は、ガーディアンを利用してウォレットをロックできますよ。
ロックの解除もガーディアンが行えます。
ウォレットの復元時は、設定したガーディアンの過半数の承認があればOK。
ガーディアンが多いほど、安全性は高まりますね。
Argentのデメリット
一方で、Argentのデメリットは以下の通り。
Argentのデメリット
順番に解説します。
対応しているのはイーサリアムチェーンのみ
Argentはイーサリアムチェーンベースのウォレットです。ビットコインなど他のチェーンの通貨を保管することができません。
他のチェーンの通貨を送金しないようにしましょう。
ビットコインなどの他の仮想通貨を安全に保管するには、ペーパーウォレットなどを利用する方法もあります。
ペーパーウォレットの作り方については、以下の記事で解説しています。参考にどうぞ。
ウォレットのアクティブ化に手数料がかかる
Argentを利用するには、ウォレットのアクティブ化が必要です。アクティブ化するには、初回のみ5ドル相当の手数料がかかります。
5DAI(USDC、USDT)もしくは、5ドル相当のETHを支払うことでウォレットがアクティブ化されますよ。
ウォレットに送金すると、手数料分差し引かれます。
レイヤー1はブラウザ版で使用できない
現在Argentでは、ブラウザ版でレイヤー1を使用できません。スマホのみ利用できます。
ブラウザ版の「Argent X」はStarkNet(レイヤー2)のみの対応なので、注意してください。
ブラウザ上でイーサリアム(レイヤー1)を利用したい場合は、スマホからWalletConncetで接続するか、別のウォレットを利用しましょう。
続いて、 Argentの使い方について解説していきます。
Argentの使い方
Argentの使い方に関して、以下の順番で解説しますね。
それでは、解説していきます。
アプリをダウンロード
まずは、Argentのサイトにアクセスして、アプリをダウンロードしましょう。
以下のリンクから、Argentのサイトにアクセスできますよ。
ウォレットの作成
アプリをダウンロードしたら、新規のウォレットを作成しましょう。
「Create new wallet」をタップ。
続いて、ユーザーネームを登録します。
ユーザーネームは、他のユーザーがあなたに送金する際に使用します。
次に、プライバシーポリシーに同意して、「ACCEPT」をタップ。
続けて、メールアドレスを入力してください。
すると、メールが届きます。メールを開きましょう。
メールを開いたら、「Verify email」をタップして、承認します。
次に、電話番号を入力してください。
電話番号を入力したら、パスコードを設定します。
すると、以下の画面になります。デバイスをなくした場合に使用するウォレット復元用の暗号キーを、GoogleDriveに保存します。「Enable now」をタップしてください。
続けて、「許可」をタップ。
これでウォレットの作成は完了です。
クラウド上に暗号キーを保存するのが不安であれば、Googleドライブからダウンロードして、暗号キーを別の場所で保管しましょう。
イーサリアムチェーン(レイヤー1)の追加
ウォレットを作成したら、イーサリアムチェーン(レイヤー1)を追加しましょう。
Argentでは、ウォレット作成時にデフォルトで「zkSync(レイヤー2)」となっています。
左上のマークをタップ。
続いて、プラスマークをタップしましょう。
「Argent Vault」を選択。
続けて、「Open Vault」をタップしてください。
すると、Argent Vault(イーサリアムチェーン)が追加されます。
続いて、ウォレットをアクティブ化しましょう。
ウォレットのアクティブ化
Argentを利用するために、ウォレットをアクティブ化します。Argentあてに送金しましょう。
5DAI(USDC、USDT)もしくは、5ドル相当のETHがかかります。
画面左上が「Ethereum」になっていることを確認して、「Top up your account now」をタップ。
続いて、「Deposit」をタップ。
「View your wallet address」をタップ。
ウォレットアドレスをコピぺして、取引所もしくは他のウォレットから送金しましょう。
アクティブ化すると、以下のメールが届きます。
以上で、ウォレットのアクティブ化は完了です。
ガーディアンの設定
ウォレットをアクティブ化したら、ガーディアンを追加しておきましょう。
アクティブ化すると、ウォレット作成時に入力した電話番号とメールアドレスの2段階認証が、ガーディアンとしてデフォルトで設定されます。
ガーディアンの追加にはガス代がかかるので注意。ガス代はArgent側で支払います。
メタマスクなどのサードパーティウォレットをガーディアンとして追加する場合は、以下のURLにアクセスしてください。
アクセスしたら、「Add a guardian」をクリック。
続いて、ウォレットを選択してください(今回はメタマスクを選択)。
続いて、「Conncet」をクリック。
メタマスクを接続しましょう。
すると、QRコードが表示されます。スマホのArgentアプリで読み取ってください。
次に、「Add a guardian」をタップ。
ガス代を確認して、「Add guardian」をタップしましょう。
すると、ガーディアンの追加待ち状態になります。
ガーディアンの追加には36時間ほどかかります。
以上で、ガーディアンの追加設定は完了です。追加されるまで待ちましょう。
NFTの保管
ArgentでNFTを保管する場合は、OpenSea(オープンシー)のトランスファー(転送)機能を利用しましょう。トランスファー(転送)機能を利用すれば、ArgentにNFTを送付できますよ。
NFTを送付する際は、アドレスを間違えないようにしてください。必ずレイヤー1のアドレスを指定しましょう。
Argentでは、「Assets」からNFTを見られます。
画像も表示されますよ。
ハードウェアウォレットの問題点
ここまでArgentについて解説しましたが、ここからはハードウェアウォレットの問題点について解説していきます。
ハードウェアウォレットの2つ問題
イーサリアムの共同創設者のヴィタリック氏は、ハードウェアウォレットの問題点について、以下の通りに述べています。
I see two main problems with hardware wallets:
Supply chain attacks: if you buy a hardware wallet, you are trusting a number of actors that were involved in producing it - the company that designed the wallet, the factory that produced it, and everyone involved in shipping it who could have replaced it with a fake. Hardware wallets are potentially a magnet for such attacks: the ratio of funds stolen to number of devices compromised is very high. To their credit, hardware wallet manufacturers such as Ledger have put in many safeguards to protect against these risks, but some risks still remain. A hardware device fundamentally cannot be audited the same way a piece of open source software can.
Still a single point of failure: if someone steals your hardware wallet right after they stand behind your shoulder and catch you typing in the PIN, they can steal your funds. If you lose your hardware wallet, then you lose your funds - unless the hardware wallet generates and outputs a backup at setup time, but as we will see those have problems of their own…
(日本語訳)
ハードウェアウォレットには主に 2 つの問題があります。サプライ チェーン攻撃:ハードウェアウォレットを購入すると、その製造に関与した多くの関係者 (ウォレットを設計した会社、それを製造した工場、およびそれを偽物と交換できた可能性のある出荷に関与したすべての人) を信頼していることになります。ハードウェアウォレットは、このような攻撃を引き寄せる可能性があります。侵害されたデバイスの数に対する盗まれた資金の比率は非常に高いです。 Ledgerなどのハードウェアウォレットメーカーは、これらのリスクから保護するために多くの保護手段を講じていますが、いくつかのリスクは依然として残っています。ハードウェアデバイスは、基本的にオープンソースソフトウェアと同じ方法で監査することはできません。
依然としての単一障害点:誰かがあなたの後ろに立ってPINを入力しているのを見つけた直後に、あなたのハードウェアウォレットを盗んだ場合、彼らはあなたの資金を盗むことができます。ハードウェアウォレットを紛失すると、ハードウェアウォレットがセットアップ時にバックアップを生成して出力しない限り、資金が失われます。それ自体に問題があることがわかります...
https://vitalik.ca/general/2021/01/11/recovery.html
つまり、ハードウェアウォレットを利用することは、ハードウェアウォレットを生産している会社やその関係者を信頼していることになるわけですね。
偽サイトや偽物も出回っており、誤って利用してしまうと、ウォレットの中身が盗まれてしまいます。
さらに、ハードウェアウォレット自体をなくしたり盗まれたりする可能性もあります。
ハードウェアウォレットの物理的な弱点ですね。
ニーモニックフレーズの問題点
またヴィタリック氏は、一般的な仮想通貨ウォレットに使用されるニーモニックフレーズの問題点についても、以下のように述べています。
Mnemonic phrases are good for protecting against loss, but they do nothing against theft. Even worse, they add a new vector for theft: if you have the standard hardware wallet + mnemonic backup combo, then someone stealing either your hardware wallet + PIN or your mnemonic backup can steal your funds. Furthermore, maintaining a mnemonic phrase and not accidentally throwing it away is itself a non-trivial mental effort.
(日本語訳)
https://vitalik.ca/general/2021/01/11/recovery.html
ニーモニックフレーズは、紛失に対する保護には適していますが、盗難に対しては何もしません。さらに悪いことに、盗難の新たな経路が追加されます。標準のハードウェアウォレット + ニーモニックのバックアップの組み合わせを持っている場合、誰かがハードウェアウォレット + PINまたはニーモニックのバックアップのいずれかを盗むことで、資金を盗むことができます。さらに、ニーモニックフレーズを維持し、それを誤って捨てないようにすること自体が重要な精神的努力です。
要するに、ニーモニックフレーズ(シードフレーズ)が盗まれてしまうと、勝手にウォレットを復元され、中身も盗まれてしまうわけです。
ニーモニックフレーズを覚えておくことや、管理するのも面倒ですよね。
そもそもニーモニックフレーズを使用しない方が安全性が高いと言えます。
ソーシャルリカバリーの良さ
ヴィタリック氏は、ウォレットの安全性に関する問題を解決する一つの方法として、以下のように述べています。
Social recovery is better
This gets us to my preferred method for securing a wallet: social recovery. A social recovery system works as follows:
There is a single "signing key" that can be used to approve transactions.
There is a set of at least 3 (or a much higher number) of "guardians", of which a majority can cooperate to change the signing key of the account.
The signing key has the ability to add or remove guardians, though only after a delay (often 1-3 days).(日本語訳)
https://vitalik.ca/general/2021/01/11/recovery.html
ソーシャルリカバリー(社会的復元)が良い
これにより、ウォレットを保護するための私の好みの方法である、ソーシャルリカバリー(社会的復元)にたどり着きます。社会的復元システムは次のように機能します。トランザクションの承認に使用できる単一の「署名キー」があります。少なくとも3人 (またはそれ以上の数)の「ガーディアン」のセットがあり、その大多数が協力してアカウントの署名鍵を変更できます。署名キーには、ガーディアンを追加または削除する機能がありますが、遅延後 (多くの場合 1〜 3日) に限ります。
つまり、第三者などのガーディアンを利用することが、よりウォレットを保護するのに適しているわけですね。
Argentは、ハードウェアウォレットの問題点を克服したソーシャルリカバリーウォレットです。
ハードウェアウォレットも悪くはないですが、より使いやすく安全性の高いArgentを利用してみるのもありですよ。
Argentの使い方:まとめ
本記事のまとめです。
Argentのメリット・デメリットは以下の通り。
Argentのデメリット
Argentの使い方については、以下の順番で解説しています。必要な部分を参考にしてください。
仮想通貨やNFTを安全に保管するなら、ソーシャルリカバリーウォレットのArgentがおすすめですよ。
ハードウェアウォレットには課題があります。ハードウェアウォレット自体をなくしたり、盗まれたりする可能性もあります。シードフレーズを忘れないように管理するのも大変ですよね。
手間なく安全に仮想通貨やNFTを保管したいなら、Argentを利用してみましょう。
今回は以上です。ありがとうございました。
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